研究課題/領域番号 |
22651013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
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研究分担者 |
鬼木 俊次 国際農林水産研究センター, 国際開発領域, 主任研究員 (60289345)
仙田 徹志 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (00325325)
栗山 浩一 京都大学, 農学研究科, 教授 (50261334)
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キーワード | 退耕還林 / 生態移民 / 地域共有資源 / 西部大開発 / 環境調和型農林業 / 黄砂飛来 |
研究概要 |
22年度の研究の具体的内容は、以下の通りである。大規模な地域共有資源の利用・保全プロジェクトとして国際的に注目されている中国の退耕還林政策は、既に第1期が完了して、その後、幾つかの地域では更新され継続されている。そこで、平成22年度は、完了した第1期の事後的な政策効果について統計情報を収集し、地域ごと年次毎に整理してパネルデータ化することを通じ統計的に加工処理を行った。また、更新して第2期目に入った地域に関してはその政策内容について、改良点・問題点等について聞取り・アンケート調査を実施しミクロデータベースとして整理した。さらに、共有地を利用した生態移民に関しては、その成功例と失敗例を各々数地域ずつ選択して、現地調査を行いミクロデータを収集した。 22年度の研究の意義に関して、共有資源の賦存状況は地域的に偏っており、その有効活用と保全のための妥当な政策提言を行うためには、先ず、国際的な視野で詳細な現地調査を行い、収集した統計情報を基に地域レベルで実証分析を企てることが必要である。この観点から実施した22年度の現地調査とそのミクロ情報のデータベース化の意義は、研究目的に照らして極めて大きい。 本研究は以下の点で特に重要である。中山間地域や急峻な傾斜地など、いわゆる条件不利地域において、過度の耕作を続けてきたことが土壌浸食等の環境劣化を生じてきた。特に中国西北部の黄土地帯においては、黄砂の飛来などの大気汚染や公害の原因となってきた。中国の退耕還林政策は、こうした地域共有資源の利用に伴う問題に対処するための大規模事業であり、また、急速な高度経済成長のもとで、沿岸部と西部との間における地域格差が極端に拡大し、大きな社会問題になりつつある中で、こうした状況を是正するための西部大開発の一環としての巨大事業でもあり、その効果を実証的に評価するためのミクロデータを収集し、分析することの重要性は大きい。
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