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2011 年度 実績報告書

喫煙による潰瘍性大腸炎発症の抑止:遺伝子改変マウスを用いた新規治療戦略の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22651020
研究機関山梨大学

研究代表者

北村 正敬  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90333062)

キーワード喫煙 / タバコ煙 / 芳香族炭化水素受容体 / 潰瘍性大腸炎 / 免疫担当細胞 / 遺伝子改変マウス / シグナル伝達 / 治療
研究概要

喫煙が潰瘍性大腸炎の発症を予防することが報告されている。しかしその臨床効果を説明しうるメカニズムは未だ不明である。本研究は、タバコ煙には芳香族炭化水素受容体(AhR)を高度に活性化する作用があるという事実をもとに、「喫煙はAhRの活性化を介して潰瘍性大腸炎の発症を抑止する」という仮説を検証することを目的とした。
申請者らが開発したDRESSAマウスは、マーカー酵素であるSEAPの定量により、体内に於けるAhRの活性化をモニタリングすることを可能にする。昨年度の検討ではまず、このセンサーマウスを用いて、喫煙が体内におけるAhRの活性化を誘導するか否かを検証した。具体的にはDRESSAマウスにタバコ煙を曝露させ、血中のSEAP活性を測定し、体内でAhRの活性化が起こるか否かを検討した。その結果、タバコ煙を曝露させたDRESSAマウスでは血中のSEAP活性の上昇が生じ、体内においてAhRの活性化が起こることが証明された。
こうした昨年度の研究成果を踏まえ、本年度は喫煙による腸管および免疫系臓器(脾臓)におけるAhRの活性化を検討した。具体的には、タバコ煙に曝露させたDRESSAマウスの大腸および脾臓におけるSEAP mRNA(外因性マーカー)およびCyplal mRNA(内因性のマーカー)の発現を、RT-PCR法により検討した。タバコ煙に曝露させたマウスの血中では、SEAP活性の増加が認められた。また、タバコ煙曝露マウスの肺および肝臓では、SEAP mRNAおよびCyplal mRNAの明らかな発現上昇が認められた。しかし脾臓および腸管では、これらマーカー遺伝子の発現上昇は認められなかった。なお、AhRの活性化に関しタバコ煙よりも遥かに強力な物質である2,3,7,8-TCDDを経口投与した場合には、大腸でのCyplal mRNAの発現上昇が認められた(山梨大学医学部免疫学講座中尾篤人教授との共同研究)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現時点で、喫煙によって腸管および免疫系臓器におけるAhRの活性化が生じていることを示す明らかな証拠が得られていない。従ってDDS腸炎を用いた動物実験を試行するまでに至っていない。

今後の研究の推進方策

今回用いたマウスへのタバコ煙の曝露は、比較的マイルドな条件を用いている。上記した問題を克服する為には、より厳しい曝露条件、即ち高濃度のタバコ煙にマウスを曝露させて検討を行う必要がある。そうした厳しい曝露条件下でAhRの活性化が生じるのか否か、現在検討を継続中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Lactobacillus bulgaricus OLL1181 activates the aryl hydrocarbon receptor pathway and inhibits colitis2011

    • 著者名/発表者名
      Takamura T, et al
    • 雑誌名

      Immunol Cell Bioll

      巻: 89 ページ: 817-822

    • DOI

      doi:10.1038/icb.2010.165

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Aryl hydrocarbon receptor経路の活性化によるデキストラン硫酸ナトリウム誘導性大腸炎の抑制2011

    • 著者名/発表者名
      高村武之, ほか
    • 雑誌名

      消化器と免疫

      巻: 47 ページ: 76-79

  • [備考]

    • URL

      http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical/molecular/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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