研究概要 |
光触媒は、「光触媒」の名の通り、光のない暗闇では全く機能しないので、夜間や消灯時を含めてトータルで考える場合光触媒の利用効率が半減されるという問題点がある。H22年度では、優れた可視光活性を示すTiO_<2-x>N_y可視光型光触媒材料と長残光性螢光体であるSr_4Al_<14>O_<25>:(Eu,Nd)との複合化を行い、太陽光・室内光照射時及び光照射停止後の暗闇状態でも、触媒作用が続けられることに成功し、フルタイム稼動蓄光型可視光触媒システム構築の可能性を見出した。H23年度では、引き続き様々な可視光応答型光触媒と長残光発光材料との複合化を行い、蓄光型可視光応答性光触媒システムの可能性とその有効性に関する実証を行った。具体的には、可視光光触媒として、アナターゼ、ルチル、ブルッカイト等の異なった結晶構造を有するTiO_<2-x>N_y、非化学量論比型SrTiO_3、Cr/FeをドープしたSrTiO_3、Ag_3PO_4、(Ta,N)コドープTiO_2/Fe_2O_3複合体等高活性可視光型光触媒の合成を行った。長残光性螢光体として、SrAl_2O_4:Eu、Sr_4Al_<14>O_<25>: (Eu,Dy)、CaAl_2O_4:(Nd,Eu)、SrAl_2O_4:(Eu,Dy)、Sr_2Mg(Si_2O_7):Eu等の高発光強度、長残光時間等の特性を有するものを利用した。上記優れた可視光活性を有する光触媒を用い、優れた長残光特性を有する材料との組み合わせを行い、いずれも可視光照射下の優れた光触媒活性と消灯後の暗闇状態での継続的触媒作用が確認され、DeNO_x及びアセトアルデヒッドの分解に有効であることを実証し、触媒作用のメカニズムを解明した。本研究を通して、フルタイム稼動蓄光型可視光触媒ナノコンポジットの合成及び蓄光型光触媒システムの構築が成功し、高次機能性の実現が可能であることを示唆した。
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