「Si(OH)_4の脱水重合体とオクタン酸塩とが互いに織り込まれるようにして固化した固形物」の大気雰囲気下における加熱処理による結晶性シリコンの形成機構について以下を検討した。 150℃から500℃の加熱温度による逐次および温度固定における熱重量分析とXRD測定の相関関係について、「Si(OH)_4の脱水重合体とオクタン酸塩とが互いに織り込まれるようにして固化した固形物」中のオクタン酸ナトリウムの分解速度と生成する結晶性Siには相関関係があり、加熱温度が低すぎるとあるいは高すぎると結晶性Siの形成は認められないことを見出した。このことから結晶性Si形成はオクタン酸の分解速度が支配的因子であることを見出した。 加熱過程におけるその場観察可能な顕微レーザーラマン分光システムを構築した。これまでのXRD測定によるSi形成の確認に加えてラマン分光からのSiの形成を確認した。逐次ラマン測定からSi形成は熱重量測定の結果と良好な相関関係にあり、「Si(OH)_4の脱水重合体とオクタン酸塩とが互いに織り込まれるようにして固化した固形物」中のオクタン酸の分解速度とSi形成には良好な相関関係が存在することを見出した。また加熱温度(および加熱時間)が高すぎるとSi形成後に直ちにその表面に酸化膜が形成することを確認した。 加熱過程の「Si(OH)_4の脱水重合体とオクタン酸塩とが互いに織り込まれるようにして固化した固形物」中のオクタン酸塩の分解に伴うラジカル種の検出はSN比などの問題で現時点においては検出できていない。
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