研究概要 |
前年度1.7keVでの共鳴電荷GISAXSの測定に成功し、その延長として非保護タイプ検出プレートでの測定テストと、UHV対応の試料セルのマウント、FeL吸収端での非鏡面散乱試験測定を行った。 しかし予定の高真空チャンバーが震災による被害から復旧せず、測定方法のさらなる成果を得ることが困難と判断し、機能構造評価の観点から磁性敏感である中性子による散漫散乱測定を試みた。 軟X線については高分子/ナノ磁性体複合膜をモデルとして硬X線GISAXSおよびFeL吸収端でのテスト測定、硬X線GISAXSおよび磁化測定等予備評価済の試料についてGISANS試行をおこなった。 GISANSは現在中性子の研究者らが要素技術開発途上の状態で共同研究をお願いしての試行であり、固定位置でのポイント検出器による強度の積分値をGISAXS強度から予測されるプロファイルと比較した。 GISANSについては現段階ではまだ磁気散乱成分を分離できる十分な強度が得られていないが、構造因子形状としてはGISAXS測定結果と矛盾しないプロファイルが得られた。定量比較にはエリア検出器や光学素子の開発を待つ必要がある。 本研究の範囲では共通試料を作成してSX-GISAXS,GISANSの予備的な測定を試行し、データの質と測定のfeasibilityを検討するところまで進めることができた。 軟X線領域での共鳴散乱による評価において、1.7keV領域までの軟X線GISAXSの共鳴効果を利用した定量評価までを実現することに成功し、0.7keVにおいては試料の非鏡面試験測定をおこなった。 装置の問題により、最終年度で機能相関としての磁気構造評価の一部を軟X線から中性子に切り替え、それまでのGISAXS構造評価の結果を踏まえたGISANS予備評価をし、基礎データと測定の基盤となる基本条件を得た。
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