研究概要 |
本研究では、球殻状タンパク質をテンプレートとして円偏光発光(CPL, Circularly Polarized Luminescence, CPDを示す量子ドットを創成し、その発光原理を解明することを目的としている。特に本提案のクリティカルパスとなる2点を集中突破することで、次世代光ナノ情報分子のブレイクスルーを拓くことを狙いとした。H22年度は、(1)球殻状タンパク質をテンプレートにしたCPL発光性量子ドットの創成(2)CPL発光性量子ドットの発光メカニズムの究明に重点を絞って研究を進めた。 H22年度の成果として、球殻状タンパク質であるフェリチンの内部をキラルなテンプレートとして利用するバイオミネラリゼーション法を用い、タンパク質に被覆されたCdS量子ドットの合成に成功した。得られたCdS量子ドットは直接遷移帯および表面欠陥準位のいずれからの発光も左巻きの円偏光性を示した。さらに、バイオミネラリゼーションによってサイズが制御されたCdS量子ドットにレーザ照射により直接光酸化することで、タンパク質内のCdS量子ドットのサイズおよび発光特性を制御することに成功した。本成果によって、バイオミネラリゼーションというボトムアップ的なテンプレート合成に、トップダウン的な光加工技術を組み合わせるという新しいナノ加工法を提案することができた。
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