外場を作用させると埋包した粒子の空間的配置が変化する埋包粒子可動型中空粒子のモデル粒子として、球状シリカ粒子を埋包した球状のシリカ粒子を作製し、その埋包シリカ粒子の液中での動きを光学顕微鏡で観察した。本粒子の作製は、コア-シェル型のポリスチレン-シリカの複合粒子を薄膜シリカで被覆する工程と、シリカ被覆した3層構造の複合粒子の中間ポリスチレン層を除去する工程から成る。ポリスチレン除去においては、高温処理によるポリマー焼成と、有機溶媒によるポリマー溶出の2つの手法を検討した。熱処理によるポリマー除去は薄膜シリカの内側にあるほぼすべてのポリマーを除去することができたが、ポリマーを除去した後の中空粒子は、液中での分散安定性が大幅に低下した。一方、有機溶媒によるポリマー除去では、薄膜シリカ内のすべてのポリマーを除去できなかった。ポリマーの不完全除去要因として、ポリマーの有機溶媒への低い拡散性を考え、ポリスチレン表面に多孔質シリカを形成することを試みた。多孔質シリカはカチオン性界面活性剤共存下でのシリコンアルコキシドの加水分解・縮合反応により行った。その結果、多孔質シリカで被覆した3層構造粒子の中間層を有機溶媒で除去すると、中間ポリスチレン層を完全に除去できることがわかった。このようにして得られた中空粒子内に埋め込まれたシリカ粒子の液中分散状態を光学顕微鏡で観察したとこと、球状のシリカ粒子がシェル内の限定された空間でブラウン運動することを観察できた。
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