研究課題
1.グラフェンの電子的無干渉性基板としての六方晶窒化ホウ素(hBN)の優れた機能の発見グラフェンは、優れた電気的・熱的性質を示すのみならず、ディラックフェルミオンとしての電子伝導や、分数量子ホール効果など物理的に興味深い特性を示すことで知られ、超高速FETへの応用のみならず単電子トランジスタやスピンデバイスへの応用が期待されている。しかしながら、従来のSiO2基板上では平坦性やキャリアの不純物散乱などの問題から本来の性質を活かすことは困難であった。hBNはグラフェンと同様に完全な平面構造の積層からなり、c軸方向にダングリングボンドを持たない。したがってグラフェンの電子的無干渉性(無不純物散乱、完全平面)基板として期待できる。実際、剥離転写法にて作製したhBN基板の平坦性はSiO2基板の半分以下の表面荒さを示す。この平坦なhBN層上に重ねたグラフェンの移動度などの電子特性は、約1桁以上従来のSiO2基板上のグラフェンを上回り、サスペンド(宙づり)構造のグラフェンに匹敵する値を示す。加えてhBNはグラフェンとは異なり高絶縁性なので、基板のみならず絶縁層としても最適で将来的に電子デバイス構造を形成する上で理想的であり、今後の電子デバイス応用には不可欠の材料であることを明らかにした。現在、これまでに基板との相互作用の点で懸念のあった多くの二次元電子系に関する重要問題が、hBNを基板に用いて次々と再検証されており新しい発見が期待される。2.ラマン散乱・光学的手法によるナノシートhBNにおける層数評価hBNナノ厚シートを剥離法にて作製し光学的手法による層数の評価が可能であることを示した。また、ラマン散乱でhBNにおいて高振動数側のE2gモードのエネルギーシフトが層数に依存して変化することを見いだした。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
Nature Materials
巻: 10 ページ: 282-285
SMALL
巻: 7 ページ: 465-468
Science
巻: 332 ページ: 328-330
Nature.Nanotechnology
巻: 5 ページ: 722-726
OHM
巻: 2月号 ページ: 8-9