本研究は、低解像度で広域が撮影されている画像を用いて地上面の詳細な情報を自動検知する手法を考案し、さらに、考案した手法を大規模災害時の救助活動に必要となる広域道路状況の把握に役立てることを検討するものである。具体的には、低解像度の上空画像情報に対し、注目領域の変化情報と辺領域の変化情報を連携して解析することで、道路閉塞領域を自動検知する手法を考案し試作システムを構築するものである。本年度の成果を以下に示す。 1. 解析手法全体の検討と試作システムの設計:上空画像の解析手法全体の検討と、構築する試作システム全体の設計を行った。また、上空画像撮影に関係する企業や道路閉塞検知に関わる組織などの意見を集約し、実応用を踏まえた手法を考案した。 2. 基盤情報自動構築処理手法の検討:平常時に撮影された衛星画像と、デジタル地図、及び数値標高データとを位置合わせして統合することで、後の解析につながる基盤情報を自動生成する手法を考案し、そのシステム部位を計算機上に構築した。ここでは、画像や地図内に登録されている緯度経度情報や、画像内のエッジやコーナーなどの形状特徴情報を用い、各種データを自動位置合わせし自動統合する手法を考案した。 3. 基盤情報構築処理基礎実験:ここで作成したシステム部位の評価のために、実データ(衛星・航空画像やデジタル地図)を用いた基礎実験を行った。画像内の領域の高低差により各情報間の位置ずれが大きくなる箇所が見られた。そのため、次年度以後の解析において、位置ずれを考慮した情報解析方法を検討することとした。
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