本研究は、低解像度で広域が撮影されている画像を用いて地上面の詳細な情報を自動検知する手法を考案し、さらに、考案した手法を大規模災害時の救助活動に必要となる広域道路状況の把握に役立てることを検討するものである。具体的には、低解像度の上空画像情報に対し、注目領域の変化情報と周辺領域の変化情報を連携して解析することで、道路閉塞領域を自動検知する手法を考案し試作システムを構築するものである。本年度の成果を以下に示す。 1. 総合実験・評価:大規模地震災害時に撮影された低解像度広域上空画像(衛星画像)とデジタル地図情報等を活用し、実験と評価を行った。その結果、約84%の道路上の瓦礫による閉塞領域と、約83%の道路上の浸水による閉塞領域の自動検知が実現できた。ただし、瓦礫に関して約23%、浸水に関して約28%の誤抽出領域が生じた。これらを低減し精度を高めるための検討が、今後必要となることが判明した。 2.画像補完方法検討:障害物等の影響で、個々の衛星画像からの情報解析が不可能となる場合に備え、上空画像とは異なる種類の情報(3次元建物地図情報)を統合して補完する手法を検討した。これにより、画像内に生じる陰影や遮蔽の影響を除去できることが予想できた。 3.応用システムの検討:ここまでの成果を踏まえ、上空画像の新たな応用分野を検討した。特に、研究分担者や研究協力者からの交通管理や救助・防災についての意見に基づき、画像から得られる道路閉塞情報と、地上各種センサから得られる情報との統合により、高い精度で結果が得られるシステムの構築が可能であることが判明した。
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