阪神・淡路大震災以後、大規模な自然災害が続発し、東日本大震災においても多くの犠牲者が、特に高齢者、身体障害者等の要援護者に出ている。これら犠牲者を一人でも少なくするためには、風水害のように襲来前に予想できる災害に対しては事前に注意の喚起や避難情報を提供することが、また地震のように突然襲ってくる災害に対しては直後に迅速に安否確認をし、さらに津波の恐れがある場合にはそのことを確実に知らせることが必要不可欠で、一刻も早い対応が求められる。そのためには一斉に要援護者の安否の確認ができ、かつ迅速な避難・救助活動を可能とする情報通信システム、および社会の仕組みが必要である。要援護者のうち介護施設等の利用者は比較的対応が可能であるが、独居あるいは在宅療養の高齢者、視覚障害者、聴覚障害者に対しては組織的対応が難しく、プライバシーの問題もあり、対応に困難をきたしているのが現状である。 このような観点から本研究では上記の問題を解決するための一斉安否確認システムの開発を行った。具体的には市の対策本部、消防、警察、社会福祉協議会など行政側のサーバを自律分散強調システムに、要援護者のもつ受信・送信端末をクライアントとする、サーバ・クライアントシステムとして開発した。 サーバには要援護者のデータベールを持たせ、その属性から、災害の種類、規模、発生時間などから救援の優先順位の決定を支援する機能を持たせた。また要援護者の端末は、視覚障害者、聴覚障害者に求められる機能を所津減した。そして視覚障害者、聴覚障害者に使用してもらい、その改善点を明らかにした。要援護者へのヒヤリングの結果その必要性が極めて高いことが改めて明らかになった。
|