研究概要 |
アクティブ型の振動制御は、制振効果は高いが、大地震時には制御に多大なエネルギーを要し、実現は困難と考えられている。そこで、断層で地震が発生して構造物に地震動が到達する前に地震動波形を事前予測し、予測情報を利用して制御効率を格段に向上させるアクティブ型の次世代構造制御システムの開発を目指し、フィードフォワード制御を含む複数の制御法について基礎式を整理した。 具体的には、最適制御理論に基づいてフィードバック制御とフィードフォワード制御を決定する基礎式を誘導し整理すると共に、地震動の伝播経路地盤の動特性を部分空間法で状態方程式の形式で同定し、制御対象の状態方程式と併合するフィードバック制御についても定式化した。また、絶対座標系での制御についても基礎式を整理した。 免震構造物を想定した1自由度振動系を対象として、フィードバック制御力の入力加速度に対する伝達関数とフィードフォワード制御力の伝達関数が共役になる関係を利用して、非因果なフィードフォワード制御力のインパルス応答関数を用いてフィードフォワード制御力を求める方法(奈良岡他、1991)を検討した。 一方、地震発生時に震源近傍の観測地震動波形を利用して、震源から離れた地点(以下,地震動予測地点と呼ぶ)における主要動の時刻歴波形を、その到達前に推定する入力地震動波形のリアルタイム推定手法(I. Nagashima et. al.2008)を検討するため、2004年紀伊半島南東沖地震のシミュレーションで作成した3次元FEMの広域地盤構造モデルモデルを用いて、南海トラフ沿いの海溝型地震の地震動伝播解析を実施した。実地震記録での伝達関数同定のため、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による余震記録を整理した。
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