研究課題
本研究では,従来のフィードバック制御に基づくアクティブ振動制御システムの制御効率を格段に向上させる,フィードフォワード制御に基づくアクティブ型の次世代構造制御システムの開発を目的としている。本研究の最も重要な課題は,地震発生時に震源近傍で観測された地震動波形を入力として,地震動の伝播経路の伝達特性を表す「地震動予測フィルター」を通して推定した一定時間長の地震動予測波形に対して,フィードフォワード制御力を算定する方法を開発することである。今年度は,昨年度に開発に成功した一定時間長の地震動予測波形に対するフィードフォワード制御力の計算方法に基づいて,アクティブマスダンパーによる振動制御を想定した構造物の相対変形を評価関数とする定式化を行うと共に,アクティブ免震を想定した絶対加速度を評価関数とする定式化も行った。また,フィードフォワード制御の効果を疑似的に考慮するため,地震動予測フィルターを制御対象の動特性と併合した拡大系の状態方程式を構築し,この状態方程式に基づくフィードバック制御についても合わせて検討を実施した。地震動予測フィルターを通して推定した数秒程度の地震動予測波形に対して,フィードフォワード制御を行うことにより,全時刻歴波形を既知として計算したフィードフォワード制御と,ほぼ同等の制御性能を発揮できることを示した。また,フィードフォワード制御により建物の共振応答の成長を効果的に抑止することが可能で,拡大系のフィードバック制御に比べても、特に制御対象の固有振動数近傍において格段に高い制御効率が得られることを明らかにした。本研究により,建築構造物のフィードフォワード制御の実現に寄与する成果が得られた。本研究成果を第15回世界地震工学会議(リスボン)で発表すると共に,提案したフィードフォワード制御力の計算方法を特許出願した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. of 15th World Conference on Earthquake Engineering
巻: Paper No.1671 ページ: CD-ROM