研究課題
平成22―23年では、「自己活性化型クリック反応」を鋳型誘起反応における結合形成反応として積極的に活用した。しかし、本研究課題をさらに進める上で、用いることのできる基質の制限に加えて、銅試薬を当量用いなければならない等の問題により、本反応を用いた組織上や生体内での実施を含めた一般的展開は困難であることが判明した。一方、最近報告者は、共役イミン誘導体が新奇な[4+4]反応を速やかに起こすことを見出した。共役イミンは、不飽和アルデヒドと生体にも多く存在するアミンから容易に生成するため、この[4+4]反応を生体内でも使用できる新しい鋳型誘起反応として活用することを想起した。様々な不飽和アルデヒドとアミンを反応させることにより、中間に生成する共役イミンが温和な条件下、速やかに[4+4]反応を起こし、ジアザビシクロオクタンや、さらに1分子のアミンが架橋した誘導体が高収率で得られることが分かった。さらに、本反応は生体内に存在する、スペルミンやスペルミジンなどのポリアミンをアミン単位とした際にも良好に反応する。ポリアミンとアクロレインを反応させた場合には、重合体が生成し、反応の条件や外部因子の存在によって、その重合度が変化することが分かった。生体内にはアクロレインや脂質から代謝された様々な不飽和アルデヒドが存在する。すなわち、本課題が目指す、生体内で生体材料のみを用いて、酸性官能基や生体金属を鋳型として鋳型誘起合成を実施することのできる結合形成反応を見出した。一方、平成に22年度に見出した共役二重結合とアジドとの、金属触媒を利用しない[3+2]環化反応の使用の可能性についても検討した。しかし、反応は非常に遅く、2日間の反応でも20%程度の変換効率であった。さらに生成物が非常に分解し易いため、様々な分子に対応しうる鋳型誘起反応として用いるにはふさわしくないと判断した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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