本年度は、高効率なDNA塩基配列選択的切断能を有する新規亜鉛フィンガータンパク質の説計・創製として、6個の(Cys2His2)型亜鉛フィンガーモチーフの真ん中に(His4)型亜鉛フィンガーモチーフを導入したマルチ7亜鉛フィンガータンパク質を遺伝子工学を駆使して作製・精製を行った。また、本新規マルチ亜鉛フィンガータンパク質のDNA切断能、すなわちヌクレアーゼ機能について、電気泳動法を用いて定量的に評価した。その結果、触媒中心である(His4)型亜鉛フィンガーモチーフの前後のそれぞれ3つの(Cys2His2)型亜鉛フィンガーモチーフによって認識されたDNA塩基配列の間のDNA配列が切断されていることが明らかになった。それ故、任意の塩基配列を(Cys2His2)型亜鉛フィンガーモチーフによって認識・結合させ、次いで塩基配列の近傍を(His4)型亜鉛フィンガーモチーフによって切断する新しい塩基配列切断能を有するヌクレアーゼの分子設計が達成されることが示された。本亜鉛フィンガータンパク質は、ペプチド結合を切断するぺプチダーゼ機能を持っていることは明白であるが、残念ながら詳細な科学的追求は十分できなかった。
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