主たる研究対象地であるギニア共和国南部のボッソウ/ニンバ地域に関する基礎的な資料の収集・分析を行った。ボッソウの村落林の成立の歴史を明らかにするため、ベルトトランゼクト法と方形区設置法の双方を組み合わせて行った森林内の樹木の分布調査のデータを解析した。主要樹種に関して、ボッソウの住民を対象にした聞き取り調査で得られたそれぞれの樹種についての実用的知識や伝統的価値などの民俗知識をまとめ、上記の森林内の存在量との間の対照を行った。また、村落周辺の植生構造の解析から、村落林を取り巻くように分布する、アブラヤシを基盤構成樹とする焼畑休閑林の保全生物学上の有意義性が浮かび上がった。この興味深いテーマに関して9月に国際ワークショップ「アフリカにおける人と自然関係の展望」を開催し、研究発表を行った。 ギニア共和国中央部のサバンナ-森林の混交地域において広域予備調査を行った。これまでのギニア南部の予備調査において、とくに古い歴史を持つ村においては、「樹齢が数百年に及ぶと思われる巨木が村落周辺に観察され、それぞれの歴史が語られていることが分かっている。ボッソウとは気候、植生・住民の生業構造の違うギニア中部のフタジャロン地域で予備調査を行った。比較的森林が豊富な地域であるにもかかわらず、南部ギニアで見られるような巨木の利用は見られなかった。気候の差や、牧畜を主体とした住民の生業の違いが影響している可能性がある。フタジャロン地域ではなく、バオバブとカポックというパンヤ科樹種が重要な実用的・精神的価値を持っていることが示唆されているギニア東部地域が有力な比絞対照地域となることが予想される。
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