研究課題/領域番号 |
22651088
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山越 言 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00314253)
|
キーワード | 環境政策 / 生態学 / 野生動物 / 保全生物学 / ギニア / チンパンジー / 鎮守の森 / アブラヤシ |
研究概要 |
主たる研究対象地であるギニア共和国南部のボッソウ/ニンバ地域に関する基礎的な資料の収集・分析を継続した。ボッソウの村落林の成立の歴史を明らかにするため、22年度に設定したベルトトランゼクト法と方形区設置法の双方を組み合わせて行った森林内の樹木の分布調査のデータを継続し、経年データの収集に努めた。複数年の調査を行うことで、生長量等の算出が可能になる。データは現在解析中である。生育する主要樹種、とくに巨木に関して、ボッソウの住民を対象にした聞き取り調査を継続した。22年度のギニア共和国中央部のサバンナ・森林の混交地域の広域予備調査を踏まえ、ギニア北西部及び東部のサバンナ・森林の混交地域における広域予備調査を行い、同国内の主要な植生タイプをすべて観察することができた。樹木文化に関する比較対象であるギニア北西部および東部乾燥地域で実用的知識や伝統的価値などの民俗知識に関して聞き取り調査を行った。その結果、主調査地であるギニア南東部都の比較において興味深い地域として、ギニア北西部が浮かび上がった。同地はアブラヤシを基盤とする二次的植生が顕著である点で、南東部熱帯林地域と共通点を持ち、アブラヤシの利用や文化的価値についての興味深い共通点や差異が示唆された。同地の地方都市の市場において、非木材林産物、とくにアブラヤシ生産物に注目して販売価格などの調査を行った。植民地期の文書調査については、ギニア共和国政府保管資料及びフランス植民地政府の行政文書について重要文献の収集に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
とくにギニア国内での広域調査により、興味深い論点を得ることができた。22年度の訪問地である中部地域では、主生業が牧畜と農業とに別れ、樹木文化についても違いのみが目立ったが、23年度に訪れた北西部では、アブラヤシの重要性という共通点の元で有意義な比較研究が行えるという感触を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
植生生態調査及び、民俗知識についての聞き取り調査については、現在のアプローチにより継続する。アブラヤシ景観の地域間比較調査については、慎重に予備調査を継続する。文献調査については対象が膨大であり、トピックをもう少し限定する必要があることを認識した。
|