本研究における成果としては以下4点が挙げられる。 1.資料の発見と蓄積。 収集予定の画像資料(ニュース映画、初等教育教科書、一般新聞等所載の画像)は、収集をほぼ完了した。その他、収集予定ではなかったが、満州国政府による宗教関係調査の報告書等、現在までに知られていなかった資料、もしくは個人所有にかかる未公開資料を多数入手した。 2.資料調査、情報交換に必要な人脈の獲得。 戦後の混乱期を経ているという事情から、本研究においては、関係者への聞き取りが不可欠なものとなっており、そのアクセスには時間をかけた信頼関係の醸成が必須である。本研究では、人的ネットワークの確保と、関係者との信頼関係形成に最大限努力し、現在のところ、関係者各個人の他、関係諸団体との連携を確保した。上記未公開資料の人手は、これら関係各位の全面的な協力によるものである。 3.成果の発信。 学会での研究発表、著作・論文の出版等(本報告書13「研究発表」参照)に加え、一般への成果の還元として以下を行った。まず、(1)関係者の評伝を執筆し、新聞連載した(「近代の肖像」青木文教編全4回、多田等観編全3回、2011年)。後者については、評伝を出版した(『チベット学問僧として生きた日本人』、2012年)。前者についても次年度に評伝を出版予定である。 4.未公開資料の翻刻出版。 入手した未公開資料のうち、関係者の了解が得られたものについては、出版に向けて翻刻作業中である。
|