サンフランシスコの対抗文化の流れをくむナウトピアの運動は、何を廃止すべきかプロテストするよりも、何をなすべきか、その代案を、直接行動で、実例提示することで示そうとする。本研究は、このナウトピアの運動を参与観察するうちに、その実践者たちが、社会を変える力を、すべての人に内在する、新しい世界をつくるクリエィティビティのうちに見ていることを発見した。それはアートをつくるクリエィティビティと根を等しくするもので、その結果、ナウトピアの運動は社会運動であるのと同じくらい、社会彫刻的なアートの実践になっている。社会運動とアートの境界をいくこのナウトピアの運動を鏡にすることで、アートと社会運動双方を現状批判すると同時に、その協働の可能性を示唆し、両者のあるべきかたちを提言することができた。
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