去年12月の末に中国南京にある東南大学人文学院で中国文学、日本文学を専攻とする院生、学部生向けに日本江戸文学の怪異小説に関する研究成果を紹介する講演『日本における剪灯新話の受容と研究』を行われ、また、中国明清小説研究会のメンバ、および中国で始めて剪灯新話の専門研究書を出された喬光輝教授との意見交換を行われた。意見交換の中で、長年日本における剪灯新話の研究成果を中国文学研究者の間でほとんど知られていなかったので、最近ようやく始まった剪灯新話の研究において日本の研究成果との重複が多く見られたことも率直に認められ、現在日本で議論されている近世文学、特に奇談の寓言論についても関心を寄せられていた。日本側の文献目録の作成に期待されている。 今回中国で資料収集の中に注目したい所は、近年(1980年~2007年)剪灯新話および作者瞿佑に関する論文は100篇に迫る勢いの中に、わずかながら4篇ほど日本人研究者の論文が中国の大学紀要や学術雑誌に載せられている。日本からの発信、つまり中国へ積極的に日本の研究成果を紹介し、今後剪灯新話の共同研究へ進め、アジアにおける怪異小説の伝統の再評価につながるのであろう。
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