1 マリヴォー『コロニー』翻訳をホームページに掲載。現在マリヴォー『恋のサプライズ2』を翻訳中(一部ホームページ掲載)。これは(1)フランス古典劇の現代日本語台本を提供することでフランス古典劇のレパートリー化を目指すものであると同時に、(2)外国古典劇の現代演劇への再生を可能にするための「翻訳システム」の開発を目指すものである。2 パリにおける演劇実践の現状を調査した。マリヴォー、チェーホフ、ドストエフスキーなど、古典演劇や外国文学が、どのような形(演出、上演法など)で現代の観客に提供されているかを調査研究し、またそうすることで、いわゆる「消費しにくい」演劇の「マーケッティング」方法の開発も目指す。3 フランス国立図書館のイナテックに所蔵されている古典劇のアーカイブを見ることによって、現代における古典の演出方法等に関する調査研究をした。今回は例えば、ストレーレル(演出家)によるマリヴォー喜劇『奴隷の島』を見ることができた。これはマリヴォー劇のコメディア・デ・ラルテ的地平を大きく開いた演出であり、日本におけるマリヴォー上演にもおおいに参考になるものである。4 論文「エリック・ロメールとマリヴォー演劇」を発表した。これは、現代風俗をあつかった映画(いわゆる時代劇ではないもの)の中で、フランス古典演劇がどのように「今日化」されているかについて考察したもので、直接的には映画に関するものだが、舞台上演にも大きくかかわる問題をあつかっている。5 大学の授業を通じ、ワークショップやリーディング形式を用いたマリヴォー劇の学校授業への導入方法に関する様々な試みをおこない、興味深い成果を得た。これは高校の授業や演劇部活動などにも応用できるものである。この成果を論文「演劇を体験する-マリヴォー喜劇『恋のサプライズ2』に触れてみる」としてまとめた(これは23年度出版)。
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