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2011 年度 実績報告書

比喩の枠組みモデルを用いたドイツ詩のテキストデータベース研究

研究課題

研究課題/領域番号 22652032
研究機関鹿児島工業高等専門学校

研究代表者

保坂 直之  鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科文系, 教授 (80280501)

キーワードテキスト / データベース / 比喩 / 文彩 / ドイツ詩 / 共起 / 季節 / 自然
研究概要

本研究は、ブラックの「枠組み(frame)」と「焦点(focus)」からなる比喩モデルに基づき、詩的表現を背景色として規定する「枠組語」の一覧化を長期的な目的としつつ、「枠組語」と「wie...」などの指標のある「媒体」(「焦点として働く」)との相互検索により、テキストファイルの文学研究への利用手段の確立を目指している。
平成23年度は詩的文彩を拾い出すためのフィルタとなる「枠組み語」の語彙のリスト化を優先した。特にライプツィヒ大学のProjekt Deutscher Wortschatzのサイトを使って類義関係・共起関係を確認しつつ、ドイツ語詩の各種アンソロジーから季節、水、樹木の語彙を収集し、それをテキストファイル形式で収集したドイツ詩データの中で、wie...に導かれた比喩イメージと共起する関係を検索した。
また、ProjektGutenbergのGedichteのページから、テキストファイルを整形してデータを増やす作業も前年度と同様の方法で進めた。自動整形のためのスクリプト処理は外注で依頼し、次年度中を目指しているこの方法の確立によって、研究の作業に使うテキストファイルの蓄積量が飛躍的に増えることが期待できる。
トラークルの詩的語彙の検討作業にこのデータ検索の方法を利用して、詩集を構成する5つの連作詩群において、四季にかかわる「枠組み語」は均等に拡散しているが、使用されている語彙の頻度に明らかな傾きがあること、水をイメージした枠組み語と色彩語のsilbernとの共起関係があることなどが見て取れた。また近代都市インフラが完成しつつあった20世紀初頭の表現主義時代でも、必ずしも都市インフラに連なる語彙が詩語としては働いていない、という、「使用されない語彙の検索」も可能であった。研究の中間報告的なアウトプットとしてこれらの問題を口頭発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

収集した詩作品テキストと比べて、ドロステ=ヒュルスホフのデータは語彙が共通しない印象があり、様々な詩的表現が共有する「枠組み語」の一覧化の材料としてはなじまない可能性がある。また、相互検索の対象として時代を超えて詩作品を収集することが長期的に見て目指されているが、研究期間内に中間的な報告を整えるためには時代等を区切る必要も感じている。外注しているテキスト整形ファイルのコード処理の仕方にばらつきが出る、という技術的問題もあった。

今後の研究の推進方策

次年度はトラークル、リルケと関連する表現主義時代の詩作品に検索対象を絞り込んでの作業をして、研究の展望を明白な形にして確認する。特に相互検索しながら「使用されない語彙」を拾う方法は重点的に検討する。コード処理のばらつきを補正する手段については、今後の共同研究を依頼する可能性も踏まえて情報処理の研究者に補助を依頼している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] トラークルの「連作詩」Abendland2011

    • 著者名/発表者名
      保坂直之
    • 学会等名
      日本独文学会西日本支部学会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2011-12-03
  • [備考]

    • URL

      http://repand.kagoshima-ct.ac.jp/repand/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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