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2011 年度 実績報告書

視線の段階的言語化理論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22652040
研究機関日本社会事業大学

研究代表者

斉藤 くるみ  日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30225700)

キーワード視線 / 日本手話 / 表情
研究概要

手話者の複数の種類の視線を言語性を基準に分類して、音声言語話者にも言語的視線に極めて近いものが存在していることを示し、視線の言語記号化までの段階的メカニズムを解明し、視線の言語化は人間の言語能力のひとつであることを証明するのが研究の目的である。
日本手話を母語とする手話者(ネイティブサイナー)の演劇・手話語りの映像を利用して、手話表出の中の視線を取り出した。インド舞踊の視線の研究をするために南インドケーララ州クーリヤッタムのレクチャー・デモンストレーション(Gopal Venu & Kapila Venu)に参加した。クーリヤッタムは演劇とも舞踊とも言えるもので、視線が54種類あり、視線は明らかに記号化されている。表すものは感情であるため、感情の普遍的視線との比較をすることが可能になった。しかしこれが言語性をもつと言えるかどうかの検証が必要である。それには音韻論的アプローチが有効であるかもしれない。
手話の音韻論としてはMPモデルについて検証した。MPモデルは音声言語の音韻論の音節構造を使用している点で音声言語との比較に長けているため、手話音韻論に使われているがアメリカ手話による研究に偏っており、日本手話及び日本手話の視線を分析するのにふさわしいか、インド舞踊やインド演劇の視線の規則を分析できるかどうかはさらなる検討を要することが明らかになった。
視覚記号からの社会的認知とSTSの関係も調べたが、言語と視覚の関係については先行研究がない。しかし早期失聴・早期手話習得と手話にともなう視線の関係は明らかになっている(Bavellier,D. et,al)。これと音声言語の習得の一致は、視線の言語性の証明のひとつと言えると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

手話の視線とインド舞踊・インド演劇の視線の分析が進んでいる。脳科学における視線の解明も調べが進んでいる。感情の視線と感情を表す規則的視線に焦点を当てていくという方針が定まった。

今後の研究の推進方策

日本手話の中の視線の文法を明確にすること、その際の音韻論的説明が可能かどうかを明らかにする予定である。またクーリヤッタムの感情表現としての視線の規則が、生物学的に普遍のものと考えられる視線と関係があることを証明できれば、それと日本手話の中の視線との関連を見出すことによって、視線の段階的な言語性を明らかにできると思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 大学教育における日本手話の意義~リベラルアーツ教育・アイデンティティ教育からキャリア教育へ2011

    • 著者名/発表者名
      斉藤くるみ
    • 雑誌名

      大学教育学会誌

      巻: 33-1 ページ: 96-103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 聴覚障害者大学教育支援プロジェクトの取り組み2011

    • 著者名/発表者名
      斉藤くるみ
    • 雑誌名

      日本社会事業大学研究紀要

      巻: 58 ページ: 145-169

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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