兵庫県下の垂井式アクセントの分布については優れた先行研究があるが、具体的なアクセント資料は、金田一語彙を中心とした、限られた語彙についてのものである。 本研究の平成22年度では、研究代表者自身による過去のアクセント調査資料の再整理を中心に行なった。すなわち、冊子形態の報告書をpdfファイル化し、さらに、そのデータ(元はワープロ専用機)をパソコンで扱えるファイル形式(「一太郎」ファイル)化した。さらに、それらの音声データも一部残されており、デジタル化を試みたが、その可能性を確認したにとどまっている。 研究計画段階で調査対象地域(垂井式アクセント)とする予定であった、姫路市夢前町の山之内小学校が、平成22年3月で閉校となり、京阪式アクセント地域にある前之庄小学校に統合された。したがって、研究課題名にある「学校」は、当初、中学校を想定していたが、小学校に変更する必要が生じる可能性が出てきた。ただし、小学生に対するアクセント調査は理解語彙・使用語彙数や技術的な面から困難を伴うことが多く、平成23年度に向けての新たな課題となっている。 平成22年度の交付申請書では取り上げなかったが、姫路市家島町においては、異体系と見なせるか否かも不確定なアクセント地域があり(研究代表者自身の調査による)、新たな調査対象地域とすべく、若干の語彙について、高年層~定年層について調査を実施した。この結果を基に、平成23年度の研究計画を立てる予定である。
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