本研究では、英語圏において録音された看護師と患者の会話データを用い、話しことばコーパスを構築し、コンコーダンサーを利用して、看護師と患者間における会話の特徴、言語上の方略などを分析することを目的とし、さらに分析結果を、看護英語教育用の開発につなげていくことを最終の目標としていた。 今年度年度に計画していた看護英語のデータおよびコーパス構築は、倫理的な問題や諸々の制約等で不可能であったため、本研究における看護英語ディスコースの研究の軌道修正を行った。当初の、コンコーダンス研究という目的から、看護英語言語ストラテジー能力の研究に焦点を絞り、複数の英語圏による看護英語の描写を行った。その結果、医療・看護の場で看護師同士で使用される言語方略の特徴などを抽出することが出来た。現在、この研究に関しては2本の論文を執筆し、査読中の段階にある。本年度も執筆を計画している。また、本研究の看護英語の言語ストラテジーについての概要を、複数のアジア圏において発表することを視野に入れる。 今年度の結果を踏まえ、アジア圏での看護英語データをさらに充実させ、看護英語の言語方略をさらに詳細に分析する必要性と意義を見出した。本研究の結果は本学の選択科目である、看護英語ENP(English for Nursing Purposes)用の教科書の基幹を成す、あるいは長期的に使用できる教材として貢献することを目的とする。 全ての研究結果は、本大学あるいは可能であれば他の教育機関で活用できるよう、看護英語の指導教材・学習教材につなげていく。
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