研究課題
本研究では、外国人留学生が日本の大学で論文など作成するに当たりWeb上で利用できる文書作成支援システム「なつめ」(http://wombat.ryu.titech.ac.jp/cgi-bin/goyou/goyou.cgi)構築の完成を最終目標としている。22年度中に行った研究は次の通りである。1)e-Learningにおける作文学習の効果的な方法の検討:理工系留学生の作文論理構造の分析をした。また語と語の共起より構文的、意味的問題をディスコースレベルまで分析し、誤用と正用間の比較を含めた研究を進めた。中国人学習者をはじめとする漢字圏学習者の母語干渉による転移の問題を紙ベースで収集済みの大量のデータを分析し研究を進めた。2)学習者評価実験:「なつめ」の効果を明らかにするために、筆記テストおよび「なつめ」を利用した実験を行い、比較分析をした。その結果、日本語能力が下位の学習者ほど「夏目」利用の効果が著しいことが明らかになった。3)システム構築:誤用種別を再検討することで、誤用データ・ベースの整備を行った誤用のアノテーションを効率化するために汎用アノテーション付与ツールSLATEを誤用分析に利用する方法を検討した。SLATEを利用するためには、客観的で一貫性のある誤用種別の構造化が必須あり、本年度はこの構造化にエネルギーを注ぎ、本研究独自の4層からなる誤用フレームを構築した。これにより、誤用の原因となる母語干渉やレジスターを包括でぎるようになり、23年度に向けて研究を進める予定である。
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Journal of Yanbian University(Social Science)
巻: Vol.42, 増刊 ページ: 128-132