研究概要 |
最終年度として学習者作文支援システム「なつめ」が用いた大規模日本語コーパスなどの正用となる言語資源に加えて、日本語学習者誤用コーパスを用い、これらに統計的手法を施すことで、日本語学習者が犯しがちな誤用のパターンを自動獲得する手法の確立および学習者自身が気づかない誤りの不適切さを指摘し、修正案を提示できるような新たな日本語教育ツールを実現することを目指した。最終年度として、室田真男(東京工業大学教授)を分担者に加え、システムの効果を評価、システムの動作、データベース設計、インターフェース・デザイン表示に関する評価を行い、教育工学専門家によるe-Learning の研究を強化した。 成果として次のものがある。1)専門日本語作文能力養成のためのテキスト分析および作文スキーマの研究を進め、鎌田美千子,曹紅セン;,歌代崇史,村岡貴子(編著),仁科喜久子(監修)(凡人社)日本語学習支援の構築 言語教育・コーパス・システム開発(2012)、および村岡・因・仁科(大阪大学出版局)「論文作成のための文章力向上プログラム- アカデミック・ライティングの核心をつかむ-」(2013)を上梓したほか論文2件、国際会議2件、国内学会4件の発表を行った。2)(1)阿辺川らは語の共起検索技術を用い、ジャンル毎の共起語の傾向を計算することで、文章ジャンルのレジスターとなる語を学習者に示すことを可能にした。(2)Bor Hodoscek, 仁科喜久子(2011)では、正用コーパスを利用して、記述する語が作文のジャンルに適切な表現かどうかをテキスト中の頻度から判定する方式を提案した。2-3)学習者コーパス「なたね」および自動添削システム「ナツメグ」構築を構築した。
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