研究概要 |
本年度は,以下も目的(1)を達成するために,被漢字系日本語学習者(上級)4名を対象に,半年にわたって,個別インタビュー調査を1週間に1回行った。 目的(1)「中級以降の非漢字系日本語学習者を対象に,漢字2字で構成される未習の漢字熟語の意味推測過程を詳しく観察し,漢字熟語の意味推測に必要な知識と方略とを収集する」を達成するため,中級以降の学習者を数名選定し,1週間に1度半年に渡って個別調査を行う。 調査方法は以下のとおりである。 中級以降の学習者を数名選定し,1週間に1度個別調査を行う。調査概要を(1)~(3)に示す。(1)から(3)へと進む際に,推測される漢字語の意味がどう変化するかを記述する。 (1)漢字語のみを見せ,未知語の場合,その意味を推測させ,その理由を説明させる。また,その確信度を評定させる。 (2)(1)の漢字語を品詞の特定できる文脈の中で見せ,漢字語の意味を推測させ,その理由を説明させ,確信度を評定させる。 (3)(1)の漢字語をさらに情報が多い文脈の中で見せ,漢字語の意味を推測させ,その理由を説明させ,確信度を評定させる。 調査の結果,学習者は自分自身の意味推測方略(語構成についての知識)を持っており,それが偏っていることが漢字語の誤った意味推測の原因となっていることが示された。このことから,上級学習者に対して語構成について再教育する必要があることが明らかになった。
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