日本のポップカルチャーがどのように浸透しているかをさまざまな国で調査できた。GNPや民主化程度によりその浸透度は異なる。アジア圏でも、モンゴルやカンボジャではほんの一握りの人しか日本のポップカルチャーに触れることさえできないという根本的な問題がある。しかしインターネットが普及しつつある現在、ポップカルチャーが世界中に浸透することは時間の問題である。台湾、シンガポールやタイでの浸透ぶり、そして最近のベトナムでの熱狂振りをみるとそれが分かる。またヨーロッパでのドイツやフランス、そしてスペインやイタリアでのアニメフェスティバルや日本文化祭での集客度はともかく、民主化が進みつつあるブルガリアやエストニアでも若者がコスプレを楽しんでいる姿をみると、日本の文化力が若者に影響を与えていることは一目瞭然である。それらが日本発の文化であることさえ知らないケースがある現状からもかれらを日本語学習者に育てるためには日本語教育の面でも画期的な転換をする必要がある。しかも欧米の大学では昨今のそれぞれの国の経済状況を反映してか日本語専攻を増やす大学は多くはない。学生も語学として日本語を学んでもそれを生かすことが将来的に見込めないと専攻をすることを躊躇する傾向にある。その背景には日本の国力が問題であるということがある。既に留学中の学生の日本語学習や日本留学の動機を調査しても日本のアニメやマンガ、ゲーム、コスプレなどに興味をもったからという学生は非常に多い。もともとは日本語は趣味・遊びであったが、日本語自体に興味を持つ場合、日本という国の文化の何かに興味を持つ場合、日本の技術や経営に興味をもつ場合と千差万別の理由で留学をしてくる。かれらの日本語力が向上するには、また日本語を学習し始めてそれを継続するにはかなり地道な努力が必要である。留学したからには日本語を武器に就職をすると考えている留学生、その目的で留学を決心した学生が多い。かれらの目的を達成するためにも日本語学習を継続しやすいような教材の開発が必要である。日本語学習を続け日本語でコミュニケーションができる人材に育てる必要がある。それでこそ日本留学の価値があるという結果になり、それが広範に認められれば日本語学習者も増加する。
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