本研究課題は、協同学習の基本的構成要素を取り入れたスピーキングとライティングの活動によって、学習者の英語のスピーキング能力およびライティング能力が伸長するか、さらに学習者の英語学習に対する態度、(対人関係等の)授業環境への評価、動機づけ、言語的自信がどのように変化するかを解明することである。 今年度は、2年次以降の実験授業(本実験)において用いる、スピーキング活動のタスクとその指導計画およびライティング活動で採用するプロセス・ライティングによる指導計画を作成することであった。まず、昨年度に大学1年生を対象に行った英語のスピーキング活動に協同学習を取り入れた予備的実験授業のデータを詳細に再分析し、その結果を学会で発表し、論文化した。結果として、流暢さのみならず正確さにおいても一部の分析項目において協同学習に基づくスピーキング活動の効果が確認された。これらの結果に基づき、本実験における教材と指導計画(活動内容)を修正した。また、英語学習に対する態度、(対人関係等の)授業環境への評価、動機づけ、言語的自信の変化を測定するアンケート項目も修正した。 ライティングの活動においても教材やプロセス・ライティングの指導計画(活動内容)の作成のための文献研究と教材研究を行った。結果として、短期間では流暢さ、正確さ、複雑さの伸長は難しいかもしれないが、ライティングの内容的な改善は期待できることが明らかになった。流暢さ、正確さ、複雑さが伸長するような題材や指導方法の構築が必要となった。 また、中学校の英語授業における協同学習の実践の観察や授業者との意見交換を通して、今後の実験授業の示唆を得すことが出来た。
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