研究課題/領域番号 |
22652056
|
研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大場 浩正 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (10265069)
|
キーワード | 英語スピーキング / 協同学習 / ペア活動 / グループ活動 / 協同作業認識 / 英語学習意欲 / 対人的能力 |
研究概要 |
平成23年度は、大学生を対象に、ペアやグループによる英語スピーキング活動に協同学習の基本的構成要素を取り入れ、学習者の英語学習に対する動機や態度及び協同作業に対する認識の変化を明らかにするために以下のような調査を行った。 (1)調査対象者:国立大学(4年制)学校教育学部1年生33名(実験群16名、統制群17名)であった。英語能力に関しては中級から中級より少し下のレベルである。(2)実験授業:ほぼ同じ形式で3回の授業(90分)を行った。コミュニケーション活動としてSpot the differenceを用いた。学習者は毎回ランダムに4人グループになり、(a)前回の振り返り(個人とペア)と教師からの指導(活動の目標、英語(語彙や文法など)及び活動に関するコメント)、(b)Shoulder partner及びFace partnerと各1回、合計2回の英語によるSpot the difference、(c)英語学習およびその振り返り(個人とグループ)、(d)グループ活動の振り返り(個人とグループ)、最後に(e)次回の取り組みに関する意見のとりまとめ(個人とグループ)を行りた。実験群には、これらの活動に協同学習の5つの基本的構成要素を組み込んだ。統制群においては、単にペアやグループになり上記の活動を行ったのみである。(3)アンケート調査:3回の活動の開始前と終了時に協同作業への認識(協同効用、個人志向、互恵懸念)を測るアンケートを行った。また、終了時に一連の活動に関するアンケートも行った 結果として、協同作業への認識に関しては、実験群と統制群における違いはなく、「協同効用」はプレからポストにかけて有意に高くなり、「個人志向」と「互恵懸念」は変化がなかった。英語能力及び英語学習意欲と態度に関しては、「グループにおける振り返り」活動において実験群が有意に高くなった。このように、協同学習によって対人的能力が高まり、信頼関係が深まることによって学校生活が充実したものになることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通りに実験授業を行い、協同作業認識(協同効用、個人志向、互恵懸念)及び英語学習動機に関するデータの分析を行い、全国レベルの学会で発表することはできたが、英語スピーキング能力の伸長を測るためのデータのコーディングとグループの振り返りに関するデータのコーディングに予想以上に時間がかかり、全てを分析することが出来なかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、調査2として、大学生を対象に英語ライティングにおける協同学習の効果を測るための実験授業を行う予定であるが、実行可能な、しっかりとした計画(手順)と準備(教材等)を行う必要がある、調査1同様にライティングや振り返りに関するデータのコーディングに時間がかなりかかることが予想される。従って、調査において明らかにすべきことを焦点化し、まず、この部分に関わるデータのコーディング及び分析を進めることで対応していく予定である。
|