1.基礎調査として、国内外の資料(教科書、参考書など)を多く収集し、今後の講義、教材開発に向けての整理、分析を行なった。海外の参考書類の分析結果として、欧米の高等教育の教科書類においても、中東の情報はそれほど詳述されてはいないのではないかという感触を得た。 2.中東の歴史、文化、芸術等に関するビデオ教材の編集、作成を行ない、授業に活用した。 外国語教育の観点からもできるだけ原語が含まれるものを編集するよう努め、同地域への受講者の関心を高めるのに大きな効果があった。 3.今年度は、現代ヘブライ語、古典ヘブライ語、アラビア語を中心とした授業を開講した。アンケートや聞き取り調査によれば、受講の動機は言語学習そのものよりも、文化や歴史への関心がより高いという傾向が見られた。高等学校で履修した世界史、地理、倫理の知識が必ずしも十分ではなく、また履修している場合も各科目間の知識が統合されておらず、不消化である。また、昨今の中東情勢について分かりにくい面があることからも、歴史、文化、地理などを統合した形で異文化を理解したいという学習者の意識のあらわれということが言えるかもしれない。これらの点は更に追跡調査を行ない次年度に生かしていく必要がある。
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