研究課題/領域番号 |
22652070
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
楠 義彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (20234429)
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キーワード | テキスト・マイニング / 歴史資料 / 魔女 / 教会 / デジタル化 |
研究概要 |
平成23年度までに予定していた魔女関係文献のデジタル化は終了した。さらに著者の項目ごとの照合作業もほぼ終了することができた。これらの作業により魔女関係文献をテキスト・マイニングする準備は整ったと考えられる。 また、平成23年度には教会関係文書の監察質問条項(Visitation Articles)と勅令(In junctions)を用いて、実際にテキスト・マイニングを行った。これは平成24年度に行う、より一般的な歴史資料へのテキスト・マイニングの利用可能性を検討する第一歩である。その過程で明らかになったさまざまな課題について、2011年12月10日に行った公開講演会「デジタルメディアと歴史学」で報告した。テキスト型資料をただマイニングするだけでは歴史学の研究として十分な成果が得られにくく、文書の長さ、形式、内容の共通性が必要なこと、またテキスト作成時の状況を加味して検討すべきであるという、テキスト・マイニングの歴史研究への応用のノウハウの根幹を獲得するという重要な成果を上げることができた。 この講演会でデジタルメディアの現状と問題点を報告いただいた埼玉大学教育学部准教授鈴木道也氏から、歴史資料のあり方そのものが変更しつつあるなかで、便利な側面があるとともに、入手しやすい資料を偏重する歴史学の傾向にどのように対応していくべきかという貴重な提言をいただいた。なお、楠の講演記録は本学オープン・リサーチ・センターによる共同研究「ヨーロピアン・グローバリゼーションと諸文化圏の変容」の年次報告書に「教会関係文書を分析する」と題して掲載している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であったテキスト・マイニングのノウハウの開拓については、ほぼ平成23年度までに行った研究により、方向性が見えてきた。ノウハウの検証作業を具体的なテキスト・マイニングのなかで、今年度に行うことができる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
魔女関係文献を用いて獲得されたテキスト・マイニングのノウハウを、より一般的な歴史資料に応用可能とするために、叙述資料ではない記録資料等に対しても、資料のデジタル化とテキスト・マイニングを実行する。この過程で16・17世紀の叙述資料の辞書作成を行いたい。これによって歴史学でのテキスト・マイニングの可能性をより広範な資料へと拡大することができるのではないかと考えている。
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