研究概要 |
22年度の研究から次のような知見が得られた。 (1)空間的思考の構成要素の体系化空間的思考を構成する空間概念、空間表現、空間的推論の3要素と内容について,内外の関連分野の文献を収集し,類似する概念との関係を整理した。また,地理空間的思考の代表的な例であるナヴィゲーションに関する質問紙である方向感覚質問紙と視覚化を含む空間的思考に関する質問を併せて実施することで、その因子構造を検討した。データ数の少ない暫定的な結果であるが、地理空間的思考と空間的思考は有意な相関を持ちながらも、ある程度独立した因子が得る結果となった。 (2)学校教育課程における空間的推論の認知過程 大学入試センターの問題から知識を問う比率の少ない、空間的表現を利用した設問を選び、大学生と地理・地質の専門家の二つの集団計10名に発話思考法により問題解決をさせ、そのプロセスを分析した。その結果、提示された空間表現から心的表象を形成する際の詳細さのレベル設定に独特の過程が見られた。これは空間表現の多くが持つアナログ的な性質から適当なレベルの情報を抽出することに寄与していると考えられる。 (3)空間的思考の育成のためのGISの活用 行政でのGISの利用と空間的思考の育成を目的とした教材を作成し,自治体職員向けGIS講習会で実際に使用した結果,その有効性と課題が明らかになった。
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