研究課題
本研究の目的は、経験的手法を通じて、法的・規範的実践の構造を行為場面の論理性に照らして解明することである。法的・規範的実践とは、法または社会規範を用いる、主張、追従、紛争決定などを言う。行為場面の論理性とは、共同行為が行われる際の具体的諸条件のもつ筋道だった性質を言う。この目的のため次の研究を実施し知見を得た。平成24年度には、まず法律相談場面で依頼者が行う法律問題の語りとそれに対する法律家の応答をとりあげて分析し次の知見等を得た。当事者の語りは、当事者が相談に先立って構成する規範的解決を説明・正当化しようとする志向をもつこと、専門家はその語りの理解の上にたち専門的解決を示唆すること。その分析結果は、6月にアメリカ法社会学会の年次大会で発表した。次に、法律事件の経験を問うインタビュー場面において当事者が行う語りを検討し次の知見等を得た。当事者の語りは、当初にはプラスの評価をもった事実からマイナスの評価をもつ事実が生起する過程として語られ、同時にその評価の低下を説明するという志向をもつこと、またインタビュアーはその理解の表示と再構築を試みること。その分析結果は3月に学術書の1章として公表した。また、その分析を基礎にして労働紛争の語りを書物としてまとめ公表した。研究期間を通じてDavid A. Goode(ニューヨーク大学教授),Albert B.Robillard(ハワイ大学教授)と継続的に協力し、助言をえた。その他の研究活動として、特別支援学校の場面観察を継続し、翻訳書原稿の完成をはかった。これらを通じ本年度に公表した複数の論文においては、研究結果をまとめて総合化することを意図して、法的事実に関する発話の論理性とそれにもとづく相互了解の構造についての理論的定式化を行った。特に、法的場面における共通了解の機構について、総合的な理論化を行い、3月に学術書の1章として公表した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
菅野和夫他編、労働審判制度の利用者調査、有斐閣、所収
巻: 0 ページ: 154,172
片岡邦好他編、コミュニケーション能力の諸相、ひつじ書房、所収
巻: 0 ページ: 311,342
Boudouin Dupret & Tim Berard ,eds.,The Parxiology of Law, Oxford University Press
巻: 0 ページ: 0
http://www2.kobe-u.ac.jp/%7Eskashimu/ReadingMaterials/EMCA_Seminar_Reading_Materials_2010/Walk_in_Congestion.html
http://www2.kobe-u.ac.jp/~skashimu/ShiroKashimura/Research.html