研究課題
今年度は、最終年度で、取り纏めを行うべき年であった。総論的課題については、①フランス物権法セミナーにおける「財の多様化」報告と総括報告をフランス語で公表することができた(この日本語バージョンも公表している)。②また、昨年度末に京都大学で行った「権利・利益・帰属--『財の法』の基礎理論構築に向けての一試論」に基づいて、それをさらに深める課題については、パリ第1大学のノルベール・フルキエ教授を別科研で招聘し、本テーマについても理論的交流の機会を持つことができたことが有益であった。教授との理論的交流の中で、主観的権利と客観法との関係についての多くの理論的示唆を受けることができた。これらを踏まえた論文も準備中であるが、各論的考察をもう少し詰める必要があるとも感じている。③また、神戸大学での公開シンポジウム「集団的・集合的利益としての”中間的利益”論の可能性」に招聘されて、「保護法益としての利益と民法学--個別的利益・集合的利益・公共的利益」と題する報告を行った。ここでは、昨年度の京都大学講演の利益論の部分を「集合的利益」という観点からさらに深めることを試みた。この内容は、次年度中に民商法雑誌に公表される予定である。各論的課題としては、①現代都市法における実定法のパラダイム転換を検討し、その中で、土地所有権論についても検討する論文を公表した。②次年度、法社会学会で「身体」論に関するミニシンポジウムの企画責任者および報告者となっており、その準備のために身体論を検討した。人格という「実体」の「媒体」としての身体という見方を提示するつもりである。この「実体」「媒体」という把握は、身体に限らず、物一般、財一般について妥当する。しかし、身体の場合には、その実体が「人格」=主体であることに特徴がある。なお、この領域では、「精子・卵子」に関する昨年度行った学会報告を公表することもできた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)
ジェンダーと法
巻: 9号 ページ: 115-127
新世代法政策学研究
巻: 16号 ページ: 173-197
法学セミナー
巻: 687号 ページ: 14-18
現代民事判例研究会編『民事判例IV・2011年後期』
巻: 0 ページ: 148-154
Michel Grimaldi et al. (sous la direction de),Le patrimoine au XXIe siecle: regards croises franco-japonais, Societe de legislation compare
巻: 0 ページ: 121-144
巻: 0 ページ: 485-511
巻: 17号 ページ: 177-214
辻村みよ子・吉田克己・安藤ヨイ子・松本克美編『講座 ジェンダーと法 第4巻 ジェンダー法学が切り拓く展望』(日本加除出版株式会社)
巻: 0 ページ: 135-148