1.データ及び関連情報の収集 前年度に引き続き、中国、インド、インドネシアについての関連統計データを収集し、あわせてミドルクラス出現による消費拡大期待が生産構造にもたらす最新の変化(需要の変化、FDIの増加、企業による生産拡大投資)に関する新聞記事及び雑誌記事を収集した。 2.インドでの現地調査 インドにおけるミドルクラスの現状を理解するために、平成23年9月にデリー市およびその近郊の中間層が多く住む新興都市グルガオン市の現地調査を行い、ミドルクラスの拡大が消費・投資の拡大をもたらしていることを確認した。 具体的には、消費者向け大規模ショッピングモール、スーパーマーケット、スズキあるいはタタなどの自動車販売店、中間層向け住宅開発などについて実態を見ると共に一部聞き取り調査をおこなった。また、調査結果の概要について、アジア経済研究所在デリー海外研究員久保研介氏(ネルー大学)、佐藤創氏(ネルー大学)、太田仁志氏(インド統計研修所)と意見交換をおこない、多くの示唆を得た。なお、中国と異なり、コンビニの普及は小売り規制の残存のため遅れている。 3.基本分析モデルの構築 消費パターンの時系列変化を、異時点間の家計調査データ及び産業連関表の民間消費ベクトルにより数量化し、その変化を産業連関表の波及分析シミュレーションに適用し、生産構造への影響を数量的に計測する基本分析モデルを考案した。 4.日本のケースの分析 中国・インドの比較対象として、1960年代日本のケースについて上記の基本モデルによる分析をおこなった。 5.中国のケースの分析 中国における中間層の諸定義を検討の後、本研究による中間層像を提示し、消費パターンの変化を明らかにした。さらに、生産構造への影響を上記基本分析モデルによる数量分析によって明らかにした。 6.インドのケースの分析 インドにおける中間層の定義を検討の後、本研究による中間層像を提示し、消費パターンの変化を明らかにした。さらに、生産構造への影響を上記基本分析モデルによる数量分析によって明らかにした。 7.1960年代日本の経験と近年の中国について、上記の4と5をベースに比較検討した。 8.研究成果の一部は学会等で発表済みであるが、更に残りの成果を学会誌等に投稿するため推敲中である。
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