本年度は、ロシア芸術団体の実態について、制度的(政治、行政、法律、起業インフラなど)、技術的(ハイテク諸分野)、経済的(人口、市場など)、社会的(文化、イデオロギーの変化など)な事業環境条件との間でどのような適応的で発展的な成長を図ってきたのかを、ダイナミックに分析するために、関連する文献ならびに各種資料(1次資料および2次資料)を入手、渉猟することを主眼とした。また、これまでの研究を、それぞれの専門領域の立場から多面的にサーヴェイし、試論的分析枠組みを演繹的に導出した。 更に、資料収集と意見交換のため、海外の研究機関、研究者および実務家との交流を行った。特にサンフランシスコにてバレエ事情に詳しいゴールデン・ゲート大学のアン・スミス教授には、広範な人脈を紹介していただき、欧米のバレエ団体の研究者との連携を図る準備をおこなうことができた。またパリのポリテクニックでは、ベンゴンツィ教授の協力を得て、フランスにおけるロシアのバレエ研究者を紹介していただいた。 ロシアの芸術団体の中で、本年度の中心となったバレエについては、バレエの歴史的背景について論文としてまとめ、今後の研究の土台となるように整理した。更に、ロシアのバレエについては、ワガノワメソッドについて映像や文献から研究を進め、アメリカにおける科学的管理法との関連性について、研究を進展させるために国内の研究者とのディスカッションを進めてきた。
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