研究課題/領域番号 |
22653053
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鳥羽 至英 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90106089)
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キーワード | audit risk approach / assertion / presumptive doubt view / neutrality view / professional skepticism / audit judgment |
研究概要 |
2012年6月に開催されるInternational Symposium on Audit Research(ISAR)のメインテーマである「監査上の懐疑主義」(Professional Skepticism in Auditing)の発表に関連して、2010年年度に引続き研究を行い、3篇の論文を公表してきた。2011年度は、監査上の懐疑主義についての議論が具体的な形で行われるように、その歴史的な議論の背景や具体的な概念的枠組みの構築に従事した。 第1の論文は、「監査判断の懐疑主義的基礎の探求」(2011年10月)であり、ここでは監査文献においてこれまで「監査上の懐疑主義」(職業的懐疑心)がどのように扱われ議論されてきたのか、また、それは哲学における「懐疑論」とどのような位置関係にあるのかを主として考察した。 第2の論文は、日興コーディアル不正会計事件を対象としたケース・スタディであり、「日興コーディアルグループ不正会計事件」(上[2011年12月]・下[2012年1月])として発表したものである。とりわけこの事案では公認会計士の監査判断の是非が問われることとなったが、この問題の背後に、「監査人の職業的懐疑心」をどのように考えたらよいのかという問題があることを指摘した。 第3の論文は、第一の論文を基礎において、監査上の懐疑心を捉える際の概念的枠組みを、「アサーション」という軸と「監査人の疑うという心理」という軸の2つから規定するとともに、現行の監査実務がどこにどのように位置づけられるのか、どのような方向に進もうとしているのかを取り上げた(2012年3月)。これは英語論文であり"Toward a Conceptual Framework of professional Skepticism in Auditing"として公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2011年度は、監査上の懐疑主義の概念的枠組みについての論文の作成を主たる目標としていたが、これ以外に、懐疑主義に関するケース・スタディ論文の作成、さらには英語による論文の作成まで完了し、大いに満足している。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、英語による論文の内容を引き上げ、ISARにおいて得られたコメントを参考にして、論文全体の質を上げ、アメリカの主要ジャーナルに投稿できるようにすることを目標としている。
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