日本の社会学に関しては規模の拡大と専門分化の進行のため、棲み分けや相互無関心が生じているという指摘があるが、実際にそのようなことが生じているかどうか検討した。仮説としては断片化仮説(社会学は相互に無関心な下位グループに断片化している)、統合仮説(社会学には中心となるような下位分野が存在する)、弱い連結仮説(中心的な下位分野は存在しないが様々な分野が緩やかに繋がっている)、という3つの仮説を検討した。具体的には日本社会学会の下位分野間ネットワークの形状について、一般化ブロックモデリングをもちいて分析した。データは2006年の日本社会学会の名簿を用い、系統抽出法でサンプリングを行った。名簿題に記載の専門分野のデータを使い、専門分野間の研究者の重なりを調べた。今回の分析では1ネットワークの形状に特に注目し、分野間の重なりに関する距離行列を三つの閾値を設定してバイナリーな有向隣接行列に変換し、それぞれ一般化ブロック・モデリングで単純化した。その結果はバイナリーな行列に変換する際の閾値によって異なるが、いずれの閾値を使っても弱い連結仮説に対応するモデルがもっともデータへの適合度が高かった。また断片化仮説よりは統合仮説のほうが適合度が高かった。
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