研究課題/領域番号 |
22653055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山中 浩司 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40230510)
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研究分担者 |
大村 英昭 相愛大学, 人文学部, 教授 (30047485)
伊藤 公雄 京都大学, 文学研究科, 教授 (00159865)
石蔵 文信 大阪大学, 医学(系)研究科, 准教授 (50303970)
阪本 俊生 南山大学, 経済学部, 教授 (30215652)
古川 岳志 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (50547007)
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キーワード | 終末期医療 / 平穏死 / 死に方 / 自殺問題 / ネットワーク |
研究概要 |
2011年度は4-5月にウェブサイトの構築について会議をもち、7月の公開シンポジウムの準備を進めた。7月18日(月・祝)の午後2時から千里ライフサイエンスセンターにおいて『老いと死から逃げない生き方』(1994年、講談社)の著者で、同和園診療所所長の中村仁一氏を迎えて一般公開シンポジウム「超高齢社会での逝き方を考える」を行い、90名近い参加者を集めた。参加者から多くの賛同と感謝のメールを受け取った。9月1日に第3回打合せ会議をもち、高齢者の終末期医療に関するネットワーク作りと自殺問題についての調査を平行して進めることを決定。11月11日には自殺問題についての研究会議を開催した。12月24日(土)午後1時から京都大学楽友会館において、仏教学者釈徹宗氏、医療倫理学者長倉伯博氏を迎えて研究会議「幸せな死に方-仏教からの取り組み」を開催した。医師、中村仁一氏、石飛幸三氏も参加し、仏教関係者、社会学者、医療関係者の間で活発な論議が交わされた。この間、これまでのシンポジウムの映像の編集を行い、ウェブサイト「生き方死に方を考える社会フォーラム」を構築、2012年1月から試験的に運用を行っている。なお、予算の関係でウェブサイトの完成が遅れたため、予定していたウェブアンケートの実施は見送った。2012年3月に打合せ会議をもち、今後の運営方針について、終末期医療問題については仏教関係者、医療関係者、社会学関係者の連携を深め、さまざまな意見や人物のネットワークの中継点としてフォーラムを位置づけることを確認し、同時に自殺問題、男性問題についても定期的に研究会議を開催し、調査研究成果を出版する構想も決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
終末期医療や自殺問題を中心として、仏教関係者、医療関係者、社会学関係者のネットワーク作りを行うのが本研究の目的であるが、フォーラムの主催する催しには予想以上に多くの一般の参加者があり、また仏教関係、医療関係、社会学関係、いずれについてもその関係ネットワークは拡大している。仏教関係については、本願寺関係者、コルモス、仏教関係の医療倫理学者、高齢者施設運用関係者との連携を深め、医療関係者については、石飛幸三、中村仁一両医師をはじめ、多くのこの問題に関心をもつ医師・看護師・介護士との関係を深めることができた。社会学関係者についても、若い研究者から高齢の著名な社会学者にいたるまで毎回多くの社会学者の参加を得て、フォーラムの集まりは非常に刺激的な場になりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度にはウェブサイトの公開を本格的に運用し、ウェブサイトを通じたネットワーク形成を試み予定であるが、本フォーラムに関心をもつ人々が予想以上に高齢者に多いことから、ウェブサイトの効力についてはやや弱気に考えている。ただし、ビデオを登録者に公開しているため、シンポジウムなどの催しに参加できない人にもネットワークを広げる手立てとしては機能すると予想する。現在の最大の問題点は予算の少なさである。ウェブサイトの費用を支払い、あと1回ほどの催しを行えばほぼ予算は底をつくため、その後の活動について大きな制限となっている。これについてはできるかぎり資金を必要としない活動方法を検討する予定である。
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