研究概要 |
本年度の研究では農業福祉を主体とした活動に関与している地域企業に焦点を当ててフィールドワーク調査を実施してきた。昨年度に得られたデータをも加えながら、今回は、質的データを量的データに変換しつつ、より実証的根拠のある理論を形成していくための基礎データ作りを中心に研究を進めてきた。その方法論としては、<研究1>フィールドワークで得られたデータをQSR社の質的データ分析ソフトNUDIST VIVO,ver.8(以下,NVivo.8)と富士通FIBシステムズ社のテキスト型データ解析ソフトWord Minerを併用して,Data Miningを行い,新しい情報の再発見,統合化とデータの可視化を行なった。また,<研究2>として農業福祉を支えている地域企業の管理職、福祉作業所代表、特別支援学校進路担当教員に対してインタビューを実施し、障害者の農業福祉活動を促進していくために必要な要因を浮上させていくという枠組みから,その手立てとして,個人の主観的構造を把握していくためのツールであるPAC(Personal Attitude Construct;個人別態度構造)分析を用いて「農業福祉を支えるための視点」を集約しようとしてきた。なお,上記二つの研究は,これまでに得られた質的データにおける結果に加え、テキストデータの「数量化」と「視覚化」という強みをもっており,今後進めていく予定の、農業福祉を支える人材やボランティアづくりに向けた活動の根拠資料となりうると考えている。研究のプロセスは、第1段階:大量のデータからノイズを取り除いてパターンを見出していく、第2段階:発見された数種のパターンから隠れた法則を見つけ出していく、第3段階:見出された法則の中から,価値,有用性のあるものをたぐり寄せていく、第4段階:法則性について,再度,ローデータにも立ち返りながら,根拠ある解釈を行なっていく.という流れでデータ処理を行なっていった。現在は、まだ、データの分析途上であり、ここで得られた結果を用いながら、最終的な障害者の農業福祉促進に向けたモデル構築と支援者養成のあり方について検討を行なっていく
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