研究課題/領域番号 |
22653073
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
黒川 雅幸 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (10510050)
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キーワード | 環境配慮行動 / もったいない |
研究概要 |
本研究は、無駄にしない行動を促進する要因の1つと考えられるもったいない情動という心理的概念に着目し、1.もったいない情動が環境配慮行動に及ぼす影響の検証、2.もったいない情動が生起するメカニズムの検証、3.もったいない情動がもつ心的機能の検証などの基礎理論を確立することが目的である。本年度は、1に関して、(1)日本社会心理学会第51回大会において発表した内容をもとに福岡教育大学紀要第四分冊へ論文を執筆した。(2)昨年度実施した小・中学生を対象としたもったいない情動が環境配慮行動に及ぼす影響についての調査結果をThe ninth conference of Asian Association of Social Psychologyおよび日本教育心理学会第53回総会において発表した。2に関しては、(1)昨年度に留学生を対象に実施したもったいない情動の国際比較研究の結果を、日本グループダイナミックス学会第58回大会において発表した。(3)もったいない情動の構成概念を明確するために、他の心理概念との相関を明らかにする質問紙調査を実施した。もったいない情動は、罪悪感、後悔、アニミズム的思考、サンクコスト効果と正の相関がみられた。結果のまとめおよび発表は次年度に行う予定である。3に関しては、(1)昨年度に大学生を対象に実施したもったいない情動の心的機能に関する質問紙調査の結果を日本社会心理学会第52回大会において発表した。(2)(1)において、もったいない情動が喚起されることによって、類似した出来事への対処や行動の改善の動機づけが高まることが明らかになったことから、本年度では、その動機づけを行動レベルで確認する実験を行った。もったいない情動を特性的に捉えた場合は行動レベルでの確認ができたが,状態的に捉えた場合は確認ができなかった。結果のまとめおよび発表は次年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、1.もったいない情動が環境配慮行動に及ぼす影響の検証、2.もったいない情動が生起するメカニズムの検証、3.もったいない情動がもつ心的機能の検証、の3つであり、いずれも研究が進展しているからである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、1.もったいない情動が環境配慮行動に及ぼす影響の検証、2.もったいない情動が生起するメカニズムの検証、3.もったいない情動がもつ心的機能の検証、の3つである。1については、調査を終了しており、論文執筆により成果を報告するのみである。2については、今年度実施した調査結果を学会発表および論文執筆を行って報告する。また、幼児や小学校低学年を対象とした実験あるいは調査を行う。3については、今年度実施したもったいない情動の特性的研究と状態的研究を統合させ、より信頼性のある結果を示すとともに、今年度の成果を学会発表および論文執筆により報告する。
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