研究課題/領域番号 |
22653074
|
研究機関 | 公立大学法人北九州市立大学 |
研究代表者 |
中島 俊介 公立大学法人北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (80183507)
|
キーワード | プロジェクト型教育 / メンタルヘルス / 平和と文化活動 / 太鼓 / 核兵器の問題 / 地域共同体 / 平和意識の向上 / 広島・長崎・北九州 |
研究概要 |
学生を含めた地域住民のメンタルヘルス(心の健康)を保持・向上させるには、平和活動を積極的に行うことである。これが本研究の基本的な仮説である。そしてこの仮説を学生が体験的に学ぶのが本研究の心理教育モデルの中心課題である 従って二年目(平成23年度)は初年度に立ち上げた「平和と文化プロジェクト」をさらに充実させて活動を深化・拡大させた。内容は以下である。 1、初年度に立ちあげた「太鼓と平和を考える学生連絡協議会;会長校:北九州市立大学。副会長校:日本赤十字九州国際看護大学。監事校:西日本工業大学」を軸にエイトテン運動(8月6日から15日までの"8月の10日間"の平和活動)を実行した。具体的には、(1)小倉原爆投下予定地での「学生平和太鼓フエスティバル」開催。(2)小倉長崎間の長崎街道220キロを広島の灯を運ぶ「自転車リレー」の実行。(3)長崎平和公園での小倉祗園太鼓の演奏による平和アピール。 2、本年はさらに初年度の活動に加えて長崎街道上の拠点活動を拡大し展開した。具体的には(1)北九州市八幡において「広島の灯」を持参し「八幡大空襲を語る会」に参加。(2)鳥栖市のフッペルのピアノ(映画"月光の夏"で特攻隊員が弾いたピアノ)前に広島の灯を献灯してピアノ演奏会実施。(3)鳥栖空襲の日に鳥栖区役所前で学生による小倉祗園太鼓の演奏。その後、市役所前から長崎自転車リレー押し出し。以上の結果、昨年度に加え多くの市民が参加(80名から200名に増加)。NHKテレビニュースや新聞紙上で取り上げられ地域の核利用の議論のきっかけとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定したプロジェクト活動は、当初の計画以上にその活動領域を広げ活発化して意義をふかめている。この点は大いに評価できると考えている。一方研究成果の示し方についてメンタルヘルス向上効果を目に見える形にするための評価尺度に関する資料の収集と選定に手間取り、質的研究と並行して進める量的研究が遅れ気味であった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では「太鼓と平和を考える学生連絡協議会」「小倉祗園太鼓北九大北方チーム」というまったくそれまでになかった新しい組織が研究上必要であった。このため組織メンバーの募集をはじめ、軌道に乗るための諸活動運営に多大のエネルギーが求められ、二年間多くの労力をこのことに振り向けた。その結果、両組織とも当初の計画通りの機能を果たすまでになり、今後の研究推進の役割を充分果たすと期待される。一方で太鼓イベントの開催や自転車リレーの実施など、仮説実証のための諸行事に多くの資金を必要とすることがわかった。しかしながらこの平和活動は研究終了後も継続すること自体が研究成果の地域への還元であると思われる。このためには毎年の運営資金の安定した資金の調達方法を確定するのが最終年度の大きな課題である。このためさらなる市民広報の充実と関連諸機関との連携強化を図りたいと考えている。
|