本研究は、ネットワーク通信を利用した認知行動療法(オンライン認知行動療法)による介入研究であり、今年度は本格的な介入前の予備的検討を中心に行った。ここでは使用するコンピューターの動作環境調整、ネットワーク環境整備、相互通信のためのソフト選定などを行い、実際にオンライン認知行動療法が施行可能となる設備を構築した。また、認知行動療法に精通したセラピスト数名で検討を重ね、認知行動療法をオンラインで行うための適切なツール及び治療プログラムの開発を行って治療環境が整えられた後は、セラピスト及び健常者を対象にした模擬的な介入を実施して実際の介入における問題点を修正した。その後には、協力に同意が得られたうつ病患者を対象として全10回の治療介入を実際に行い、介入後に得られたフィードバックを元にしてさらにプログラムの改良を図った。 これらの予備結果を参考にして今後の研究継続に必要な情報を収集し、また、国内の主要研究者と意見交換を行うことで今後の介入研究において必要な認知行動療法についての最新知見、患者評価に利用する予定の認知機能検査に関する情報を整理した。 本研究は、介入研究であり、対象者の抑うつ症状をできるだけ改善させることが望ましい。そのためにネットワーク通信を利用した形であっても実際の面接により近い環境を整えることが最重要であり、そのためのシステム作りを行った。
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