A県内の病院に勤務する看護職者を対象に作成した試作版;二次的外傷性ストレス尺度(以後、試作版とする)を標準化し、その信頼性・妥当性や関連要因を検討するために、国内の21病院に勤務する看護職者996名を対象とし、2012年2月~10月に託送調査法による無記名・自記式の質問紙調査を実施した。質問紙の内容は試作版を加え修正したが、前年度調査に準じた。質問紙の回収率75.2%,有効回収率72.2%であった。 尺度の探索的因子分析では、麻痺、過覚醒・再体験、回避の3因子構造を示し、回転前の3因子で全分散を説明する割合は70.6%を示した。内的整合性・信頼性も問題はなく、試作版の20項目を採用項目とした(α信頼性係数は尺度全体で.96、各因子で.89~.94)。日本版GHQ精神健康調査票28項目版(以後、GHQ28とする)、および日本語版バーンアウト尺度(以後、バーンアウト尺度とする)を追加尺度とした並存的妥当性は、バーンアウト尺度の個人的達成感の低下を除く全体尺度・下位尺度間で有意な正の相関を示した。確証的因子分析の適合度指標はCFI=.914,RMSEA=.092であり、各因子間の相関は有意に高かった。以上により、本研究で作成した尺度は信頼性・妥当性が確保され、尺度として一定の基準を満たしていると考えられた。 さらに、この尺度をもとに、前年度調査および今年度調査の二次的外傷性ストレスとソーシャルネットワークや被暴力体験、担当科を含む職務状況等との関連を再分析・分析した。その結果、仕事の要求の高さや上司・同僚のソーシャルサポート不足、心的トラウマをもたらすような強いストレスを伴う出来事を体験した患者をケアする職務状況、看護職者自身の過去の体験や感情労働、被暴力体験の状況等において、特定の傾向があることが示唆された。尺度作成と共に、学会発表・投稿論文で今後成果を発表する予定である。
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