本研究では、視線検出装置を用いて、幼児を対象に顔様の視覚刺激のどこに注目するのかを定量的に分析し、そのデータをもとに自閉性障害の早期発見法を提案することを目的としている。一般に自閉性障害の診断は、言語的発話が乏しいということで、およそ3歳になされることが多い。だが本研究は視覚探索による抽出法であり、言語的発話に頼らないという点で、言語的発話が活発になる3歳より早い時期に障害が発見できる可能性が広がり、早期スクリーニング法として有効だと考えられる。 23年度は、初年度からの継続として健常児および自閉性障害児を対象に、顔および顔様刺激を提示し、その刺激に対する視線計測を実施し、データ数の蓄積に努めた。自閉性障害児が顔のどのパターンを避ける傾向があるのかを詳しく調べるために、人の顔写真とそれが天地逆になった顔写真と並べて示したり、単純化した顔様パターンとそれを天地逆にしたパターンを並べて示したりして、どちらをより長く眺めるのか、あるいは避ける傾向にあるかなどについて調べた。健常児と自閉性障害児の注視パターンを視線検出装置によって定量的に分析することによって、両者の比較を試みた。 また、より社会的な場面に近い状態での視覚行動を調べるために、タッチパネル式のPCモニタを利用した視覚探索課題を開発した。スクリーン上に提示された複数の正面顔の中から横向き顔だけを探しだす課題や、その逆の複数の横向き顔の中から正面顔を探しだす課題などを、健常児と障害性障害児を対象に実施し、潜時や正確性についてなど、両者の相違点を調べた。
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