研究課題/領域番号 |
22653099
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研究機関 | 富士常葉大学 |
研究代表者 |
安達 明久 富士常葉大学, 総合経営学部, 教授 (10552474)
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研究分担者 |
高田 仁 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (70363314)
小湊 卓夫 九州大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (30372535)
田中 岳 九州大学, 教育改革企画支援室, 准教授 (80553411)
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キーワード | 教育学 / 経営学 / FD |
研究概要 |
本研究は、近時大学運営において必要性が高まっている「FDの新しい分野」(OD)を推進する手段として、民間企業や非営利組織において利用されている統合的経営管理ツールである「バランス・スコアカード」(BSC)を採りあげ、その適用可能性と効果を明らかにするための開発研究を行うものである。22年度は、主にFD集会開催等を通じた各種プロセス・手法の開発とBSCの策定等の取組を実施し、23年度はその成果に関するアンケート調査等を下記の通り実施した。 (1)本件開発研究に協力した九大5部局(農学研究院等)の部局長に対し、取組みの効果に関する個別ヒアリングを実施するとともに、農学研究院の全教員に対し、取組みの効果に関するアンケート調査を実施。 (2)BSCを大学経営に導入している明星大学、九州共立大学の2大学と、取組みの内容、効果に関する意見情報交換を実施。 (3)上記(1)~(2)の結果に基づいて、BSC策定をFDの場に適用した取組みの効果の有無等について検証を実施上記作業の結果、FD等を通じたBSC策定プロセスを経験することにより、教員の大学経営への参画意識が総じて向上し、部局内の各委員会が一定の方針や戦略の下で連携協調して課題に対処するようになったなど、具体的な成果が確認された。このことから、FDの新たな分野である組織開発(OD)を推進するにあたっては、大学向けに改良されたBSCを大学経営に導入し、その策定をFDの場を通じて行うことが、教員の意識改革の上で一定の有効性を有するものと考えるに至った。また、BSCをFDの場において活用するための条件として次の2点が重要であるとの知見も得た。 (1)BSCを我国国立大学において活用するためには、大学・部局の固有の価値観の明示、多様な数量指標の設定中期目標中期計画との対応整合性の維持など、BSCの改編等の工夫を行うことが必要である。 (2)BSCの策定をFDの場において実施するにあたっては、ワーキンググープの設置、ファシリテーションの活用、客観的データの準備活用の3点が極めて重要である。
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