研究成果をふまえ、栄養教諭養成カリキュラムの課題を分析し、優れた栄養教諭を養成するためのカリキュラム開発の基本原則について提案することを目的とした。 構成は、栄養教諭に求められる資質について追究した。まず、栄養教諭の前身である学校栄養職員に求められる資質、栄養教諭の制度構想と審議経過から栄養教諭に求められる資質、食育実践地域の実態調査を通して、文部科学省が示した職務内容とのズレを分析し、教育現場が求める資質を析出した。そして大学における養成課程のカリキュラムを分析し、その特徴から類型化を行った。大学では、栄養教諭に求められる基礎的資質を形成することが基本であるので、その観点から、カリキュラムの不備を補完するために、選択科目、履修モデル、資質形成科目、栄養教育実習などについて、カリキュラム開発の基本原則を提案した。カリキュラム開発の基本原則に基づく栄養教諭養成の栄養教育実習計画試案についても提案した。 栄養教諭養成に関する研究やその資質形成について、カリキュラム分析をふまえた本質的な究明はなされていない。本研究では審議経過を中心に資質形成の基本となる免許制度について考察し、栄養教諭の職務実態調査を通して、大学における養成カリキュラム分析をする方法によって追究した。養成課程で学んで栄養教諭の職に就いた後も、基礎的な知識・技能の上に現場体験を重ね、期待される資質を広げる必要があるので、栄養教諭養成を担う大学ではその土台となる基礎的資質を育成するためのカリキュラムを開発することが重要である。以上の追究によって、栄養教諭養成を担う大学においては、「教育力」「実践力」「栄養士力」を備えたカリキュラムを、より一層自覚的に開発することが必要であることが明らかになった。その場合、栄養教諭の職に就いた後も、さらなる職能成長につながるような基礎的資質を育成することが大切であることも確認できた。
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