本研究は、平成16年度から18年度にかけて荻田が行った「働く女性のメンタルヘルス:母親と子どもの定期健康診断結果から」(科学研究費補助金若手研究(B)課題番号16730362)の発展的研究である。所謂「ママ友ストレス」に焦点を絞り、働く女性のメンタルヘルスについて調査研究、考察を行うことを目的とする。具体的には、「ママ友ストレス尺度」を作成後、それを用いて幼稚園、保育所、認定こども園の差異について明らかにし、各々において保護者支援を行う際の課題、とりわけ認定こども園において保護者支援を行う際の課題について考察する。そして今日的課題である幼保一元化に資する包括的考察を行うことを目的とする。平成22年度は、幼稚園、保育所、認定こども園における保護者支援に関する研究論文を収集し、これまでの歴史的背景の整理、現在残された課題等について批判的考察を行った。そのプロセスで、本研究には様々な専門領域における知見が必要と思われた。例えば、ママ友ストレスを考えていく際に、子どもの行動特性、母親の認知傾向について考慮していく必要があり、そのためには障がい児臨床に詳しい専門家が必要不可欠である。またママ友ストレス尺度を完成させ、幼稚園、保育所、認定こども園による差異を明らかにしたとしても、その結果を生かし、幼保一元化に資する包括的考察を行うためには、認定こども園の現状に詳しい専門家が必要不可欠である。そのため、こうした専門家が集い、様々な議論をすることができる「ママ友研究会」を設立し、第1回目の集会を3月に行った。平成23年度には、この「ママ友研究会」の中で「ママ友ストレス尺度β版」を完成させ、調査研究へと進めていく予定である。
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